秘儀、現実逃避!
[ランニング] 2016/08/14(日) 17:49
駒澤大学陸上部の夏は恒例の野尻湖合宿から始まる。
駒澤の選手がチームに所属しているご縁から、
わたしたちも特別にこの合宿に参加させてもらっている。
野尻湖は一周15kmほどの起伏に富んだロードコース。
メイン練習は走力ごとに分かれてそこを2周する。そのメニューが
一週間のうちに複数回行われるわけだ。
社会人のわたしはAチームに加えてもらったが、駒澤大学のレギュラー
クラスは10,000mを28分台、5,000mを13分台で走るメンバーが
揃っていて胸を借りる立場だ。
チームのこの練習での方針は全員がしっかり予定をこなすこと。
途中入れ替わりでペースメイクされるのだが、エース級の選手でも
設定ペースより速いタイムで走ろうものなら
『オマエ、自分の練習してんじゃねーよ!』
と即座に大八木監督からドヤされる。
監督からの激は厳しいように聞こえるが、こういう中にも絶妙な
チームビルディングを感じる。
ペースは1kmあたり4分を切ることはなく、淡々と、コツコツと、
無言のままに距離を踏み重ねていく。
綺麗に隊列されたグループは、見えない紐で繋がれているかのように
均等な車間距離を保ちながら進んでいく。前後左右の選手たちに守られて
いるような心地よさを感じる一方で、そこから漏れ落ちることが
一切許されないという緊張感にも包まれている。
速すぎず、遅くはない。
この後半に向けて体力が削り取られていく、境界線を彷徨う感覚は
走るメンバーの集中力を極限まで高めていた。
これは15年以上前になりますが、わたしが実業団選手時代に経験させて
いただいた記憶です。
当時は藤田敦史選手、藤田幸則選手、大西選手、西田選手、神屋選手、揖斐選手
とスター揃いで、一介の実業団チームでは太刀打ちできないレベルでした。
この経験はその後の競技生活に大きな影響を与えてくれたのは言うまでもなく、
今だに一緒に野尻湖を走った感覚がハッキリと脳に刻まれています。
一人で夏の日にペース走を行うとき、わたしはこの記憶の中に陶酔して
大勢のメンバーと一緒に練習している錯覚を招きます。
先日の15kmペース走も同じように陶酔してしまい、5kmでラップタイムを
押し忘れるという失敗をおかしました(笑)
(15kmペース走)
① 4分39秒
② 4分23秒
③ 4分23秒
④ 4分25秒
⑤ 5分13秒 ?
⑥ 2分35秒 ?
⑦ 4分18秒
⑧ 4分17秒
⑨ 4分17秒
⑩ 4分16秒
⑪ 4分15秒
⑫ 4分14秒
⑬ 4分13秒
⑭ 4分11秒
⑮ 4分11秒
⑯ 4分06秒
*先日わたしが行ったペース走です。
『走ってるときって、何考えてるの?』
とマラソンを経験したことがない方からお決まりの質問を受けます。
シチュエーションで思うことも様々ですが、印象に残っているレースや
トレーニングを思い起こして陶酔していることってありませんか?
こうした脳を心地よい状態に満たす現実逃避も、辛い練習を乗り越えていく
一種の効果的な戦術だと思ったりするわけです(笑)
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